DX Column

お役立ち情報

生成AIに入力してはいけない情報とは?NG例と判断基準

ChatGPTやGeminiなどの生成AIは、文章作成や要約、情報整理を短時間で進められる便利なツールです。ただし、会社で利用する際に最初に確認したいのが、「何を入力してよいか」です。 情報漏えいというと外部からの攻撃を思い浮かべがちですが、生成AIの業務利用で注意したいのは、「要約したかっただけ」「社名を伏せれば問題ないと思った」といった判断から、業務情報を誤って入力してしまうことです。 そこで今回は、会社で生成AIを使う前に確認したい「入力してはいけない情報」を、個人情報、顧客・取引先情報、契約・法務情報、議事録、技術資料、経営情報などに分け、具体例とともに整理します。入力してよいか迷ったときの判断基準や、社内文書を活用する際に検討したい管理環境についても解説します。
目次

生成AIに入力してはいけない情報とは?

生成AIへの入力前に確認すべき情報を、個人・顧客取引先・契約法務・議事録・技術設計・経営財務人事の6カテゴリに整理

本記事でいう「入力してはいけない情報」とは、会社の許可なく外部の生成AIサービスへ送信すると、会社・顧客・従業員に不利益が生じる可能性がある情報です。

顧客名、契約条件、社内会議の内容、技術資料、製造条件、品質基準、人事情報などは、日常業務で扱う機会が多い一方、個人の判断で外部サービスへ入力してよい情報ではありません。

ただし、すべての生成AIサービスが同じ条件でデータを扱うわけではありません。法人向けサービスでは、契約や設定によって、入力データをモデル学習に利用しない仕組みや、管理者によるアカウント管理、利用ログの確認機能などが提供されている場合があります。 一方で、個人向けの無料ツールを業務で自由に使う状態では、会社は利用状況を把握しにくくなります。

生成AIを業務で使うときは、まず、そのサービスを会社が利用してよいと認めているかを確認します。そのうえで、「この情報を、その環境へ入力してよいか」を判断します。便利だから入力するのではなく、利用環境と情報の両方を確認することが、安全な利用の出発点です。

個人情報は入力しない

まず注意すべきは個人情報です。氏名、住所、電話番号、メールアドレス、社員番号、顧客番号など、個人を識別できる情報を指します。単体では特定できなくても、他の情報と組み合わせて個人が分かる場合は、同じく注意が必要です。

たとえば、顧客対応メールを作るために顧客名や問い合わせ内容をそのまま入力する。採用候補者を整理するために履歴書や面接メモを貼り付ける。社員評価や異動メモを要約させる。こうした使い方は、企業目線では慎重に扱うべきです。

個人情報保護委員会も、入力したデータが生成AI事業者の機械学習に使われる場合、本人の同意がない「第三者提供」に当たり得るとして、個人情報の入力に注意を促しています(出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年))。個人情報を含む文書を扱いたいときは、個人向けAIにそのまま入れず、会社が利用を認めた環境かどうかを先に確かめます。

顧客情報・取引先情報は入力しない

社名を伏せても、製品名・業界・金額・納期など複数の手がかりから相手や内容を特定できる可能性を示した関係図

顧客情報や取引先情報も、入力すべきでない情報の代表です。顧客名、取引先名、担当者名、商談内容、見積条件、契約条件、納期、クレーム内容は、会社の信用に直結します。社名を一部伏せても、文脈・製品名・金額・業界から相手が推測できることがあります。

営業メールや提案書を整えるために商談メモを入力する。クレーム対応文を作るために問い合わせ内容を貼り付ける。便利に見えますが、入力内容によっては情報漏えいにつながります。匿名化すれば十分とは限らないため、会社のルールに沿って、使えるAI環境と入力可能な範囲を確認します。

契約情報・法務相談の内容は入力しない

契約書や法務相談の内容も、個人向けの生成AIには入れることを推奨しません。契約書には、取引条件、価格、納期、責任範囲、秘密保持、損害賠償、解除条件など、企業間の重要情報が含まれます。これらを外部に入力すると、取引相手との信頼関係や法務上の管理に影響しかねません。

法務相談やトラブル対応、係争に関する情報も同様です。要約や論点整理にAIは役立ちますが、入力する情報そのものが機密なら、利用環境を慎重に選ぶ必要があります。契約書をAIで確認したいときは、無料AIに個人判断で入れず、法務・情報システム部門に相談し、会社として管理できる環境で扱います。

社内会議の内容・議事録は慎重に扱う

議事録の作成や会議要約は、生成AIと相性がよく見える業務です。実際、会議後のメモ整理をAIで効率化したい方は多いはずです。ただ企業目線では、議事録は高リスクな情報を含みやすい業務でもあります。

会議では、経営方針、売上見込み、顧客との交渉状況、人事情報、開発中の製品、品質トラブル、価格改定、未公開の施策が話題になります。会議音声や文字起こしをそのまま個人向けAIに入れると、これらを外部サービスに送ることになります。

まず会議の種類を分けて考えます。一般的な社内連絡や公開済み情報の整理なら検討しやすい一方、経営会議・顧客商談・人事会議・技術会議・品質会議は特に慎重に扱うべきです。会議内容を扱うなら、入力ルールだけでなく、音声・文字起こしデータの保存場所、アクセス権限、ログ管理、削除ルールまで確認します。

技術資料・設計情報・製造条件は入力しない

製造業や研究開発では、技術資料、設計情報、製造条件、品質基準、検査基準を扱う場面が多くあります。これらは会社の競争力に直結する情報で、外部に出すべきではありません。設計図や仕様書を要約させる。製造条件を整理させる。不良原因の分析メモを貼り付ける。品質基準書を読み込ませる。いずれも効率化の効果は大きい一方、情報管理上のリスクも高くなります。

とくに製造業では、文書そのものだけでなく、含まれる数値・条件・工程・検査方法・顧客別仕様にも価値があります。社名や製品名を消しても、内容から技術情報が推測できることがあります。技術・品質文書を活用したいなら、個人向けのクラウドAIではなく、会社として管理できるAI環境を検討します。製造現場での生成AI活用は「日本のものづくり現場で進む生成AI活用の5事例」も参考になります。

経営情報・財務情報・人事情報は入力しない

経営・財務・人事の情報も、入力時にとくに注意が要ります。未公開の売上、利益計画、投資計画、事業戦略、人員計画、採用方針、社員評価、異動・退職情報は、社外に出ると企業活動に大きく影響します。

経営会議の資料を要約させる。人事評価コメントを整える。採用候補者の比較表を作る。部門別売上を分析させる。こうした用途では、生成AIの便利さより情報管理の慎重さが優先されます。利用可否を個人で判断せず、社内ルールに従い、必要に応じて管理部門や情報システム部門に確認します。

生成AIに入力する前に確認したい判断基準

入力してよいか迷ったら、次の観点で考えると判断しやすくなります。

生成AIへの入力前に、社外に出してよい情報か、個人を特定できないか、契約・金額・技術情報を含まないか、会社が認めたAI環境かを確認する4項目

迷ったときは、入力しないほうが安全です。生成AIは「入力してから考える」のではなく、「入力してよい情報かを確認してから使う」のが基本になります。

社内文書や技術資料を生成AIで活用したいものの、外部への送信や情報管理に不安がある場合は、ローカルLLM「ラクラグ」についてご相談いただけます。

自社の文書や利用環境について確認したい方

ラクラグの機能や仕組みを知りたい方

入力してよい情報の例

すべてを入力してはいけないわけではありません。内容や利用環境によっては、比較的使いやすい業務もあります。公開済み情報をもとにした調査、一般的な文章の言い換え、社外秘を含まない資料構成案、汎用的なメール文面のたたき台などは、検討しやすい領域です。

ただしこの場合も、出力をそのまま使うのは避けます。生成AIは自然な文章を作れますが、内容が常に正しいとは限りません。公開情報の整理でも、出典確認・事実確認は欠かせません。安全に使う鍵は、入力する情報を絞ることと、出力を人が確認すること。この両輪です。無料AIを業務で使う際の線引きは「無料で使える生成AIを仕事で使ってもよいか」でも整理しています。

社内文書をAIで活用するなら、管理された環境へ

社内文書を個人向けAIへ直接入力する運用と、RAG・ローカルLLM・アクセス管理・ログ管理を備えた社内AI環境の対比

生成AIを本格的に使いたくなると、最終的には社内文書や過去資料を活かしたいというニーズが出てきます。社内マニュアルの検索、過去提案書の参照、技術・品質文書の確認、会議メモの整理、社内問い合わせ対応。いずれも効果が大きい一方、社内文書には機密が含まれることがあります。だからこそ、個人向けのクラウドAIにそのまま入れず、会社として管理できる環境で扱います。

選択肢の一つがRAGとローカルLLMです。

  • RAG:社内文書を検索し、その内容をもとにAIが回答する仕組み。
  • ローカルLLM:外部にデータを送信しない構成を取りやすい、AIの動かし方。

どちらも「使えば絶対安全」ではありません。権限管理・ログ管理・データ更新・運用ルールをあわせて設計してはじめて、社内データを安全に活かせます。なお、禁止・制限されている社内でどう相談を切り出すかは、別記事「会社で生成AIを安全に使うための相談術」で具体的に解説しています。

入力を避けたい情報を、管理された環境で扱う「ラクラグ」

ここまで見たとおり、技術資料・議事録・顧客情報・品質文書といった「入力を避けたい情報」ほど、実は社内で活用したいニーズが大きい情報でもあります。この矛盾を解く一つの方向が、外部に送らず社内で扱えるAI環境です。

その一つが、株式会社フツパーのローカルLLM「ラクラグ」 です。フツパーは「最新テクノロジーを確かな労働力に」を掲げ、製造業をはじめとする現場でのAI導入支援で知見を重ねてきました。ラクラグは、クラウドを使わず社内ネットワーク内で完結し、機密を外に出さずに社内資料を扱えるのが特徴です。

この記事で「入力を避けたい」とした情報のうち、社内で活用したい文書に照らすと、ラクラグは次のように対応します。

この記事で「入力を避けたい」とした情報ラクラグでの扱い
技術資料・設計情報・製造条件・品質基準社内ネットワーク内で完結し、外部に送らず参照できる
議事録・会議メモ社内文書として取り込み、管理された環境で整理できる
分散した社内資料(PDF・Excel・画像など)PDF・Word・Excel・PowerPoint・画像などをそのまま取り込み
(共通)クラウドへの外部送信の不安クラウドに接続せず、社内ネットワーク内で処理

属人化したナレッジを共有し、”現場で本当に使える”状態に近づけるための道具です。ただし、外部送信を避けられても、社内での取扱いが無条件で安全になるわけではありません。とくに個人情報・顧客情報を含む文書は、社内でも入力ルール・アクセス権限・利用目的の管理が引き続き必要です。ラクラグは、そこを含めて「自社のどの文書から・どの業務で始めるか」を整理する段階から検討できます。

情報収集・社内共有から始めるなら

具体的に評価する段階なら

まとめ:入力してよいかを、使う前に確認する

生成AIは業務効率化に役立つ一方、入力する情報によっては情報管理上のリスクが生じます。大切なのは、生成AIを使うか使わないかを二択で考えず、「どの情報を・どの環境に入力するか」で線を引くことです。

判断は、次のように整理できます。

  • 入力を避ける:個人情報、顧客・取引先情報、契約・法務情報、議事録・会議内容、技術資料・設計・製造条件、経営・財務・人事情報
  • 比較的使いやすい:公開済み情報の調査、一般的な文章の言い換え、社外秘を含まない構成案(いずれも出力の事実確認は必要)
  • 管理された環境で扱う:上記「避けたい情報」を業務で活かしたい場合は、法人向けAI・RAG・ローカルLLMなど会社として管理できる環境を検討する

迷ったときは入力しない。これを基本に、入力ルールと運用環境をセットで整えることが、安全な活用の近道です。安全に使う方法の全体像は「生成AIを安全に使う方法3選」で整理しています。

生成AIは、人の代わりに考える魔法ではありません。調べる時間や整理の手間を圧縮し、人にしかできない判断や現場の仕事に時間を回すための”道具”です。だからこそ、どこまで入力してよいかを見極めて、安心して使える形を整えていく価値があります。

よくある質問(FAQ)

個人情報を生成AIに入力する際は、何に注意すればよいですか?
氏名・住所・電話番号・メールアドレス・社員情報・顧客情報・採用情報などは、個人向けの生成AIにそのまま入力しないほうが安全です。入力データの扱いや利用規約を確認し、会社のルールに沿って慎重に判断しましょう。

議事録の要約に生成AIを使う場合、どのような注意が必要ですか?
議事録には、経営・顧客・人事・技術に関する情報が含まれることがあります。会議音声や文字起こし、議事録の原文をそのまま入力する前に、会社で認められた環境か、保存や利用のルールが決まっているかを確認しましょう。

社名や個人名を伏せれば、業務情報を入力できますか?
名前を消しても、製品名・金額・業界・契約条件などから相手や内容が推測されることがあります。情報を伏せただけでは不十分な場合もあるため、機密性の高い内容は慎重に扱う必要があります。

ChatGPTなどの無料版生成AIは、仕事でも使えますか?
会社のルールと、入力する情報の内容によります。業務で利用する場合は、会社が認めているサービスや利用方法かを確認したうえで使うことが大切です。

社内文書を生成AIで活用するには、どのような方法がありますか?
社内文書には機密情報が含まれることがあるため、個人向けの生成AIにそのまま入力する方法は適しません。RAGやローカルLLMなど、会社がデータや利用者を管理できる環境を検討する方法があります。

ローカルLLMとは?クラウドAIとの違いと企業導入のメリット・注意点
RAGとは?生成AIで社内文書を活用する仕組み・メリット・注意点
生成AIを安全に使う方法3選|会社で導入する前の選び方