生成AIに入力してはいけない情報とは?

本記事でいう「入力してはいけない情報」とは、会社の許可なく外部の生成AIサービスへ送信すると、会社・顧客・従業員に不利益が生じる可能性がある情報です。
顧客名、契約条件、社内会議の内容、技術資料、製造条件、品質基準、人事情報などは、日常業務で扱う機会が多い一方、個人の判断で外部サービスへ入力してよい情報ではありません。
ただし、すべての生成AIサービスが同じ条件でデータを扱うわけではありません。法人向けサービスでは、契約や設定によって、入力データをモデル学習に利用しない仕組みや、管理者によるアカウント管理、利用ログの確認機能などが提供されている場合があります。 一方で、個人向けの無料ツールを業務で自由に使う状態では、会社は利用状況を把握しにくくなります。
生成AIを業務で使うときは、まず、そのサービスを会社が利用してよいと認めているかを確認します。そのうえで、「この情報を、その環境へ入力してよいか」を判断します。便利だから入力するのではなく、利用環境と情報の両方を確認することが、安全な利用の出発点です。
個人情報は入力しない
まず注意すべきは個人情報です。氏名、住所、電話番号、メールアドレス、社員番号、顧客番号など、個人を識別できる情報を指します。単体では特定できなくても、他の情報と組み合わせて個人が分かる場合は、同じく注意が必要です。
たとえば、顧客対応メールを作るために顧客名や問い合わせ内容をそのまま入力する。採用候補者を整理するために履歴書や面接メモを貼り付ける。社員評価や異動メモを要約させる。こうした使い方は、企業目線では慎重に扱うべきです。
個人情報保護委員会も、入力したデータが生成AI事業者の機械学習に使われる場合、本人の同意がない「第三者提供」に当たり得るとして、個人情報の入力に注意を促しています(出典:個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年))。個人情報を含む文書を扱いたいときは、個人向けAIにそのまま入れず、会社が利用を認めた環境かどうかを先に確かめます。
顧客情報・取引先情報は入力しない

顧客情報や取引先情報も、入力すべきでない情報の代表です。顧客名、取引先名、担当者名、商談内容、見積条件、契約条件、納期、クレーム内容は、会社の信用に直結します。社名を一部伏せても、文脈・製品名・金額・業界から相手が推測できることがあります。
営業メールや提案書を整えるために商談メモを入力する。クレーム対応文を作るために問い合わせ内容を貼り付ける。便利に見えますが、入力内容によっては情報漏えいにつながります。匿名化すれば十分とは限らないため、会社のルールに沿って、使えるAI環境と入力可能な範囲を確認します。
契約情報・法務相談の内容は入力しない
契約書や法務相談の内容も、個人向けの生成AIには入れることを推奨しません。契約書には、取引条件、価格、納期、責任範囲、秘密保持、損害賠償、解除条件など、企業間の重要情報が含まれます。これらを外部に入力すると、取引相手との信頼関係や法務上の管理に影響しかねません。
法務相談やトラブル対応、係争に関する情報も同様です。要約や論点整理にAIは役立ちますが、入力する情報そのものが機密なら、利用環境を慎重に選ぶ必要があります。契約書をAIで確認したいときは、無料AIに個人判断で入れず、法務・情報システム部門に相談し、会社として管理できる環境で扱います。
社内会議の内容・議事録は慎重に扱う
議事録の作成や会議要約は、生成AIと相性がよく見える業務です。実際、会議後のメモ整理をAIで効率化したい方は多いはずです。ただ企業目線では、議事録は高リスクな情報を含みやすい業務でもあります。
会議では、経営方針、売上見込み、顧客との交渉状況、人事情報、開発中の製品、品質トラブル、価格改定、未公開の施策が話題になります。会議音声や文字起こしをそのまま個人向けAIに入れると、これらを外部サービスに送ることになります。
まず会議の種類を分けて考えます。一般的な社内連絡や公開済み情報の整理なら検討しやすい一方、経営会議・顧客商談・人事会議・技術会議・品質会議は特に慎重に扱うべきです。会議内容を扱うなら、入力ルールだけでなく、音声・文字起こしデータの保存場所、アクセス権限、ログ管理、削除ルールまで確認します。
技術資料・設計情報・製造条件は入力しない
製造業や研究開発では、技術資料、設計情報、製造条件、品質基準、検査基準を扱う場面が多くあります。これらは会社の競争力に直結する情報で、外部に出すべきではありません。設計図や仕様書を要約させる。製造条件を整理させる。不良原因の分析メモを貼り付ける。品質基準書を読み込ませる。いずれも効率化の効果は大きい一方、情報管理上のリスクも高くなります。
とくに製造業では、文書そのものだけでなく、含まれる数値・条件・工程・検査方法・顧客別仕様にも価値があります。社名や製品名を消しても、内容から技術情報が推測できることがあります。技術・品質文書を活用したいなら、個人向けのクラウドAIではなく、会社として管理できるAI環境を検討します。製造現場での生成AI活用は「日本のものづくり現場で進む生成AI活用の5事例」も参考になります。
経営情報・財務情報・人事情報は入力しない
経営・財務・人事の情報も、入力時にとくに注意が要ります。未公開の売上、利益計画、投資計画、事業戦略、人員計画、採用方針、社員評価、異動・退職情報は、社外に出ると企業活動に大きく影響します。
経営会議の資料を要約させる。人事評価コメントを整える。採用候補者の比較表を作る。部門別売上を分析させる。こうした用途では、生成AIの便利さより情報管理の慎重さが優先されます。利用可否を個人で判断せず、社内ルールに従い、必要に応じて管理部門や情報システム部門に確認します。
生成AIに入力する前に確認したい判断基準
入力してよいか迷ったら、次の観点で考えると判断しやすくなります。

迷ったときは、入力しないほうが安全です。生成AIは「入力してから考える」のではなく、「入力してよい情報かを確認してから使う」のが基本になります。
社内文書や技術資料を生成AIで活用したいものの、外部への送信や情報管理に不安がある場合は、ローカルLLM「ラクラグ」についてご相談いただけます。
自社の文書や利用環境について確認したい方
ラクラグの機能や仕組みを知りたい方
入力してよい情報の例
すべてを入力してはいけないわけではありません。内容や利用環境によっては、比較的使いやすい業務もあります。公開済み情報をもとにした調査、一般的な文章の言い換え、社外秘を含まない資料構成案、汎用的なメール文面のたたき台などは、検討しやすい領域です。
ただしこの場合も、出力をそのまま使うのは避けます。生成AIは自然な文章を作れますが、内容が常に正しいとは限りません。公開情報の整理でも、出典確認・事実確認は欠かせません。安全に使う鍵は、入力する情報を絞ることと、出力を人が確認すること。この両輪です。無料AIを業務で使う際の線引きは「無料で使える生成AIを仕事で使ってもよいか」でも整理しています。
社内文書をAIで活用するなら、管理された環境へ

生成AIを本格的に使いたくなると、最終的には社内文書や過去資料を活かしたいというニーズが出てきます。社内マニュアルの検索、過去提案書の参照、技術・品質文書の確認、会議メモの整理、社内問い合わせ対応。いずれも効果が大きい一方、社内文書には機密が含まれることがあります。だからこそ、個人向けのクラウドAIにそのまま入れず、会社として管理できる環境で扱います。
選択肢の一つがRAGとローカルLLMです。
- RAG:社内文書を検索し、その内容をもとにAIが回答する仕組み。
- ローカルLLM:外部にデータを送信しない構成を取りやすい、AIの動かし方。
どちらも「使えば絶対安全」ではありません。権限管理・ログ管理・データ更新・運用ルールをあわせて設計してはじめて、社内データを安全に活かせます。なお、禁止・制限されている社内でどう相談を切り出すかは、別記事「会社で生成AIを安全に使うための相談術」で具体的に解説しています。
入力を避けたい情報を、管理された環境で扱う「ラクラグ」
ここまで見たとおり、技術資料・議事録・顧客情報・品質文書といった「入力を避けたい情報」ほど、実は社内で活用したいニーズが大きい情報でもあります。この矛盾を解く一つの方向が、外部に送らず社内で扱えるAI環境です。
その一つが、株式会社フツパーのローカルLLM「ラクラグ」 です。フツパーは「最新テクノロジーを確かな労働力に」を掲げ、製造業をはじめとする現場でのAI導入支援で知見を重ねてきました。ラクラグは、クラウドを使わず社内ネットワーク内で完結し、機密を外に出さずに社内資料を扱えるのが特徴です。
この記事で「入力を避けたい」とした情報のうち、社内で活用したい文書に照らすと、ラクラグは次のように対応します。
| この記事で「入力を避けたい」とした情報 | ラクラグでの扱い |
|---|---|
| 技術資料・設計情報・製造条件・品質基準 | 社内ネットワーク内で完結し、外部に送らず参照できる |
| 議事録・会議メモ | 社内文書として取り込み、管理された環境で整理できる |
| 分散した社内資料(PDF・Excel・画像など) | PDF・Word・Excel・PowerPoint・画像などをそのまま取り込み |
| (共通)クラウドへの外部送信の不安 | クラウドに接続せず、社内ネットワーク内で処理 |
属人化したナレッジを共有し、”現場で本当に使える”状態に近づけるための道具です。ただし、外部送信を避けられても、社内での取扱いが無条件で安全になるわけではありません。とくに個人情報・顧客情報を含む文書は、社内でも入力ルール・アクセス権限・利用目的の管理が引き続き必要です。ラクラグは、そこを含めて「自社のどの文書から・どの業務で始めるか」を整理する段階から検討できます。
情報収集・社内共有から始めるなら
具体的に評価する段階なら
まとめ:入力してよいかを、使う前に確認する
生成AIは業務効率化に役立つ一方、入力する情報によっては情報管理上のリスクが生じます。大切なのは、生成AIを使うか使わないかを二択で考えず、「どの情報を・どの環境に入力するか」で線を引くことです。
判断は、次のように整理できます。
- 入力を避ける:個人情報、顧客・取引先情報、契約・法務情報、議事録・会議内容、技術資料・設計・製造条件、経営・財務・人事情報
- 比較的使いやすい:公開済み情報の調査、一般的な文章の言い換え、社外秘を含まない構成案(いずれも出力の事実確認は必要)
- 管理された環境で扱う:上記「避けたい情報」を業務で活かしたい場合は、法人向けAI・RAG・ローカルLLMなど会社として管理できる環境を検討する
迷ったときは入力しない。これを基本に、入力ルールと運用環境をセットで整えることが、安全な活用の近道です。安全に使う方法の全体像は「生成AIを安全に使う方法3選」で整理しています。
生成AIは、人の代わりに考える魔法ではありません。調べる時間や整理の手間を圧縮し、人にしかできない判断や現場の仕事に時間を回すための”道具”です。だからこそ、どこまで入力してよいかを見極めて、安心して使える形を整えていく価値があります。
よくある質問(FAQ)
個人情報を生成AIに入力する際は、何に注意すればよいですか?
氏名・住所・電話番号・メールアドレス・社員情報・顧客情報・採用情報などは、個人向けの生成AIにそのまま入力しないほうが安全です。入力データの扱いや利用規約を確認し、会社のルールに沿って慎重に判断しましょう。
議事録の要約に生成AIを使う場合、どのような注意が必要ですか?
議事録には、経営・顧客・人事・技術に関する情報が含まれることがあります。会議音声や文字起こし、議事録の原文をそのまま入力する前に、会社で認められた環境か、保存や利用のルールが決まっているかを確認しましょう。
社名や個人名を伏せれば、業務情報を入力できますか?
名前を消しても、製品名・金額・業界・契約条件などから相手や内容が推測されることがあります。情報を伏せただけでは不十分な場合もあるため、機密性の高い内容は慎重に扱う必要があります。
ChatGPTなどの無料版生成AIは、仕事でも使えますか?
会社のルールと、入力する情報の内容によります。業務で利用する場合は、会社が認めているサービスや利用方法かを確認したうえで使うことが大切です。
社内文書を生成AIで活用するには、どのような方法がありますか?
社内文書には機密情報が含まれることがあるため、個人向けの生成AIにそのまま入力する方法は適しません。RAGやローカルLLMなど、会社がデータや利用者を管理できる環境を検討する方法があります。