| AIで検品業務をDX化
食品工場における検品とは、商品の入出庫時に品質や数量などをチェックすることを指します。お客様へ安心・安全な商品をお届けするためには、検品は非常に重要な作業工程のひとつです。また、製造業における検品では、傷や形状、異物の有無などをチェックしているケースが多く見られます。
AIを用いた検品業務は、撮像機器で取得した対象物の画像を、あらかじめチューニングしておいたAIで処理し、合否判定させることです。人間に近い基準で判定できることから、製造業における目視検査工程の自動化手法として注目されています。ここでは、画像認識AIで実現できることとそれによって得られるメリットを実際の事例を通して解説します。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
| 画像認識AIは検品業務においてどう活躍しているか
検品業務に使われるAIには、あらかじめ正解のあるデータを学習させる「教師あり学習」が主に使われています。なかでも2022年時点では、ニューラルネットワーク(人間の脳の神経細胞ネットワーク構造を再現した数理モデル)を用いたディープラーニング(深層学習)が注目を浴びています。正解ラベルを付けた画像を入力するだけで、自動的に特徴量を見つけ出し、判断基準を自ら学習していくことができる点が画期的です。さらに、バックプロパゲーション(誤差逆伝播学習)という技術により、入力と出力の誤差を修正する作業を繰り返して、判別の精度を向上させていきます。
また、AIによるデータ処理にクラウドサービスを使わない、エッジAIという技術を活用することで、スピードが求められる検査にも対応できます。検品業務における画像認識AIは実用レベルに到達していると言えるのです。
| 検品AIの導入がおすすめの業界は?
AIによる検品業務が活用されている分野と事例を紹介します。
◯食品製造業界
食品製造業界では、同じ食品でも形状や色に差があることや不明瞭な判断基準により、自動化が進まないという課題がありました。
しかし、ディープラーニングなどAI技術の進化により、あいまいな基準を定義できるようになったため、目視よりも高速で、ばらつきの少ない検査を実現した事例が出てきています。
◯物流業界
倉庫内における自動化やバーコード管理の導入が進んでいる物流業界でも、入荷や出荷の検品作業にはイレギュラーなケースが多々あり、多くの企業が目視検査に頼らざるをえない状況です。そこに画像認識AIを導入し、商品を外観で判別することで検品している事例があります。これにより、作業の効率化と誤送リスクの低減を実現しています。
◯電子機器業界
電子機器業界では、パソコンやタブレットの基板に使われているコネクター接続の検査に画像認識AIを使用している事例があります。良品と不良品の画像をAIに学習させることで、目視検査では見分けがつきづらいわずかな差の検出を可能にしています。
| 食品業界における検品AIの活用事例
食品業界での検査にAIを活用している事例を4つ紹介します。
それぞれ順番に見ていきましょう。
◯外観検査AIを導入し、品質の安定と安全確保を実現
ある企業では、1分間に500個の製品が流れるラインに検査員が張り付き、包装材の外観や製品の変形など、さまざまな項目をチェックしていました。
検査には高い集中力が必要になるため、作業者が常に緊張した状態になり、体調や精神状態が検査結果に影響するリスクがありました。そこで、新工場を建設するタイミングで画像認識AIを導入し、検査工程を自動化しました。AIで正確な検査ができる画像を取得するため、撮像条件にもこだわりました。レンズの絞りやカメラのシャッタースピード、照明の選定や光の当て方を試行錯誤したとのことです。
その結果、不合格品を漏れなく検出することに成功しました。検査工程が自動化したことで検査品質のばらつきがなくなり、食の安心安全の確保にもつながっています。
◯異物混入検査にAIを導入し、作業コストを削減
食品メーカーにとって異物混入の防止は重要な課題です。ある企業では原材料の検査に人手と時間をかけて対応していましたが、それには人材確保の問題や収益低下といった課題を抱えていました。
そこで、AIを活用して良品を検出する検査装置を開発しました。合格品以外をすべて不良と判定することで、精度の飛躍的な向上を実現しています。また、従来の画像認識技術では検査精度が低いうえに、装置が高額になることが、中小企業の多い食品メーカーにとっては課題でした。しかし、この原材料検査装置は、従来の装置の10分の1を目標価格として開発され、低価格で高性能な装置としてグループ内への展開も可能になりました。
◯個体差があるお菓子の検査にも、AIなら対応可能
食品業界では、工業製品とは違いその日の温度や湿度で外観に差が出るものが多く、従来のルールベースの検査装置では、判定基準を明確に決めて自動化することが難しいとされています。
ある企業では、ディープラーニングを搭載したAIモデルを導入することで、個体差のある菓子の検査を自動化することに成功しました。それまでは把握できていなかった不良率や不良のパターンが判明したことで、前工程の変更が仕上がりに及ぼす影響の調査が可能になり、業務改善にも役立っています。
◯属人化した異物検査を、AIで標準化
ある企業では、加工食品の製造時に行っている異物検査や素材のグレード分けができる人材の確保に課題を抱えていました。このままでは品質が担保できず、安定供給もできなくなることに危機感を持った同社はAIの導入を決めました。ディープラーニングを搭載したAIモデルを複数組み合わせることで、熟練者と同等以上の精度を実現することに成功したのです。
さらに、検査工程の属人化が解消されたことで、製造ラインの集約も可能になりました。これにより、工場間で原材料を搬送する工数や在庫量の削減、出荷までのリードタイム短縮など、プラスアルファの効果も期待されています。
| 食品工場のDX化には、外観検査AI「メキキバイト」
食品工場の外観検査自動化に役立つAI「メキキバイト」を紹介します。検査工程における省人化や安定した検査品質の維持を検討している方に必見の内容です。
ぜひ、最後までお読みください。
◯「メキキバイト」を選ぶ理由
メキキバイトは形に個体差があるものや不良の基準があいまいな検査を得意としています。さらに、エッジAIの採用により、一般的なIoTセンサとは違いクラウドを利用した処理が不要。結果として1秒間あたり20〜30回という高速な判定処理が可能です。このため、仕上がりの形や色に差が出やすく、高速な判定が求められる食品の検査に適しています。
しかし、AIプロジェクトは実証実験をしたところで案件が保留になってしまうことが多いです。その理由のひとつが「高いコスト」です。
株式会社フツパーでは、AI導入にハードルの高さを感じている方に向けて、本当に役に立つ道具としてサービスを提供したいと考えました。「メキキバイト」は既存の製造ラインにカメラや照明を取り付け、汎用小型コンピュータで処理するため、手軽に導入できます。また、ソフトの初期費用が不要な月額制サービスで、契約期間の縛りは一切ありません。
初年度は月額298,000円(ライセンス費用/2年目以降は月額98,000円)から利用可能ですので、ぜひご検討ください。
◯「メキキバイト」の導入事例
◇検査工程の自動化・無人化を実現
ある菓子製造会社様では、「メキキバイト」の導入以前は目視検査を自動化できず、外観検査工程では1ライン当たり検査員2人ずつを配置して対応していました。そのため、人材確保や検査品質のばらつきといった課題をなんとかしたいと考えていました。
そこで「メキキバイト」を導入することにし、株式会社フツパーがAIモデルを構築しました。不良の種類が複数あるため、センサではできなかった検査項目も、ディープラーニングを搭載している「メキキバイト」で対応することに成功しました。その結果、検査工程の自動化が実現し、2つの製造ラインで無人化を達成しました。

◇ヒューマンエラー回避
もうひとつ、個数を間違えて梱包・出荷するヒューマンエラーに悩まされていた食品製造メーカーに導入した事例を紹介します。この工場では専任の検品担当者がおらず、個数間違いに気づかないまま後工程に流してしまう課題がありました。
そこで「メキキバイト」を導入し、AIのモデル構築を実施しました。無造作に置かれた食品は重なりがあり、一つひとつの認識が難しかったため、全体をひと塊として正解・不正解をAIに学習させることで個数間違いを自動で検出可能にしています。

◯結論
このように、「メキキバイト」は目視検査の自動化を実現するツールとして利用可能です。
検査工程の自動化や、検査員のスキルのばらつきにお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。