株式会社フツパー(本社:大阪市淀川区、代表取締役:大西洋、以下フツパー)は、既存の工作機械にポン付け(※)で振動センサを設置するだけで、加工条件の可視化・刃物の破損検出を実現するIoTサービス『振動大臣』の提供を開始しました。
(※) 加工せず簡単な作業で取り付けできること
『振動大臣』は、フツパーが異常検知のAI開発とIoTシステムを開発、株式会社浪速工作所(本社:大阪府堺市南区高尾3丁目3287-2、代表取締役:谷本 和考、以下浪速工作所)が製造現場のノウハウの提供、IMV株式会社(本社:大阪府大阪市西淀川区竹島2-6-10、代表取締役:小嶋 淳平、以下IMV)が振動・測定器を提供、有限会社ヒサミツ(本社:大阪市平野区加美鞍作2丁目13-16、代表取締役:寺久保 寿光、以下ヒサミツ)が基板設計・筐体開発を行い、4社共同で開発を行ったIoTソリューションです。料金体系は月額制で初期費用を抑えた導入が可能となっています。
振動大臣とは
現在、多くの町工場では、マシニングセンタや旋盤等のNC工作機械を用いて、切削や研削によって金属の不要な部分を削り落とす加工作業を行っています。
これまでの金属加工の現場では、加工時の負荷で刃物が折れ、加工不良になることを防ぐため、熟練作業者が目・耳・手の感覚や勘を使って加工作業を行っています。そのため、夜間等の人が付けない時間帯での稼働が難しく、生産性の効率化が進んでおらず、現場の高齢化と人手不足も年々深刻になってきています。
「工作機械の稼働率を上げたいが、刃物が折れたり機械が壊れたりする懸念から、24時間運転はできず、人が付けない夜間や休憩の時間も止めずに運転できる方法を探している。」という浪速工作所の相談をきっかけに、フツパーが工作機械の8割を占めるマシニングセンタとNC旋盤を主な対象とし、刃物の摩耗・破損・機械の異常を検出し、切削加工の効率化を実現するソリューション開発に着手しました。振動センサを用いた加工条件の可視化においては、振動試験装置の製造・販売において世界トップメーカーであるIMV協力のもと実証実験を行いました。
さらに従来のデータロガーや解析ソフトのような高度な解析は加工現場では扱いづらいことから、必要最低限の振動値+加工条件のデータ活用が可能な現場で使える実用的なツールの開発を目指し、回路設計や筐体開発においてヒサミツを加えた計4社での共同開発の結果、1年以上の開発期間と実証期間を経て、今回のサービス実用化に至りました。
振動大臣の特長
今回のソリューションでは、振動センサと専用のソフトウェアを用いており、以下の特長から現場作業者の負荷を減らしつつ、機械の稼働率といった加工現場の生産性向上を目指します。
・職人の「勘」の可視化とAIの融合
振動センサを用いて職人の「勘」を効果的に抽出できる仕組みがあります。
これまで検品・検査向けに開発してきたアルゴリズム構築の強みを活かした、刃物の摩耗・刃物の破損が判断できる仕組み、異常値が判断できる仕組みがあります。
・異常時の機械停止やIoTによるエラー監視
設定により、工作機械に標準搭載のI/Oと接続することによって、リアルタイムで測定された振動データに対して、クリティカルな異常が起きた際には瞬時に工作機械を停止したり、アラートを出したりすることが可能です。
各機器はクラウド上で遠隔管理することができ、エラー数の管理も可能です。
・加工データを蓄積し、レポートを自動で作成
過去の加工条件や図面データを誰でも簡単に呼び出せ、刃物の寿命を測る場合や加工データの可視化に有効なデータが蓄積され、誰でも次の加工に活かせる仕組みがあります。
工作機械が稼働している時間を計測し、稼働時間を割り出すことができるため、それらのデータをもとにして、稼働率・人事評価・顧客分析等の様々な用途に活用できます。