〜固定カメラ・ドローン・UGVを統合した「AI高度遠隔管理システム」の開発に着手〜
この度、株式会社フツパー(以下、「当社」)は、国⽴研究開発法⼈海上‧港湾‧航空技術研究所 海上技術安全研究所 (以下「海技研」)が推進する研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)「AIの活用による次世代造船所の実現に資する技術開発事業」において、「現場映像とAIを活用した造船建造現場の遠隔管理・安全性向上システムの開発事業」の代表提案者として採択されました。
造船現場が抱える安全課題
日本の造船業は、熟練技能者の不足と高齢化が深刻化しています。造船現場は高所・暗所・部材の遮蔽が入り乱れる過酷な環境であり、重大事故のリスクが高い状況にあります。一方、人手による監視には限界があり、AI導入においても高コストや誤検知が障壁となっています。政府は生産性を倍増させ建造量を1,800万総トンへ引き上げる目標を掲げており、安全かつ持続可能な現場環境の構築が急務となっています。
開発内容
当社は、固定カメラ・ウェアラブル端末・ドローン・UGV等から得られる多種多様な映像データを統合した「AI高度遠隔管理システム」を開発します。造船現場に特化した独自の多段的推論アルゴリズムにより、不安全行動や危険状況を高精度にリアルタイム検知し、現場パトライト・メール・チャットツール・スピーカーへの即時通知、およびドローン・UGV等の作業ロボットとの制御連携を実現します。
本事業の委託期間は2027年3月末までを予定しており、同期間内で参画造船所12社での実証完了を目指しています。 事業期間以降は国内での展開・基盤強化、またAIロボット群との連携機能強化を目指します。
開発するシステムの構成
- 現場遠隔管理システム
各デバイスの映像データをクラウドで一元管理し、リモートでの注意喚起・作業指示を可能にします - 造船特化型AI不安全検知システム
造船特有の環境に適応したAIにより、以下6項目を自動検知します
区分
検知項目
不安全行動
高所作業におけるハーネスフックの未使用・ヘルメットの未着用検出
不安全行動
可動設備と人の接触検知
不安全行動
吊り荷配下への人の侵入検知
不安全行動
立ち入り禁止区画への侵入検知
不安全行動
工場内の火気検知
不安全環境
開口部・段差・仮設足場等の不安全環境の自動指摘
検知された不安全行動・環境に応じて、現場パトライトへの点灯、メール・チャットツールへのリアルタイム通知、スピーカーでのアラート発声、ドローン・UGV等への制御連携を行います。
開発目標値
本システムの開発にあたり、以下の精度を当初目標として設定しています。
検知モデル
指標
当初目標値
物体検出(作業員・保護具・吊り荷・可動式設備等)
再現率
80%以上
分類/シーン判定(高所・危険シーン・ハーネス着用判定等)
判定精度
90%以上
※目標値は事業期間中の要件定義を経て精査される予定です
実施体制
本事業は、当社を代表提案者として、一般社団法人日本中小型造船工業会(会長:田中 敬二)と国内造船所12社が共同提案者として参画します。ドローン・UGVの提供・開発はブルーイノベーション株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:熊田 貴之)が再委託として担い、同社が有するドローン・UGV等の遠隔制御および統合運用技術を活用し、造船現場における巡回・監視・危険箇所確認等の自動化支援を行います。
共同提案造船所(12社):本田重工業株式会社、本瓦造船株式会社、向島ドック株式会社、村上秀造船株式会社、檜垣造船株式会社、浅川造船株式会社、旭洋造船株式会社、福岡造船株式会社、株式会社臼杵造船所、佐伯重工業株式会社、尾道造船株式会社、内海造船株式会社
なお実施体制には含まれないが、以下の企業も支援企業として参画します。
セーフィー株式会社(本社:東京都品川区): クラウド型防犯カメラ/ウェアラブルカメラの提供
オリックス株式会社(本社: 東京都港区): 本システムの将来的な事業化ならびに販路開拓の支援
AI開発実績
当社はこれまでに、建設現場等における不安全行動検知AIの開発実績を有しており、今回の造船向けシステム開発に技術的な基盤として活用します。具体的には以下の実績があります。
- NEDO「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査」 共同実施者に採択(2024年11月〜2025年12月)
- デジタル庁「テクノロジーマップの整備に向けた調査研究(アナログ規制の見直しに向けた技術実証等)における技術実証」 実証事業者に採択(2023年11月〜2024年2月)
当社は本事業を通じて、造船現場における安全管理のDX推進に貢献してまいります。
【将来の見通しに関する注記】本リリースには将来の見通しに関する記述が含まれています。これらは現時点での判断・仮定に基づくものであり、実際の結果とは異なる場合があります。
■参考リンク
BRIDGE事業(海上技術安全研究所):https://www.nmri.go.jp/bridge/